FC2ブログ
黒き艦娘、闇艦娘との闘いの火蓋が切って落とされる!
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 キン肉マンルージュはもやもやした気持ちを振り払うように、にっこりと笑み、観客達に向かって声を張り上げる。

「今日は来てくれて、本当にありがとうだよ! 明日も頑張るから、また来てくれると嬉しいな! ねッ、お兄ちゃんッ!」

 会場にいる男性達は、心臓と脳みそに高圧電流が流れ走り、頭の中では春風が吹き荒れた。そして全身がぬるま湯に浸かっているかのように、とても心地がよい。

“ぐおおおぉぉぉおおおッ! 明日も絶対にいっちゃうぜ! ルージュちゃん!”

「お姉ちゃんも、また来てくれるよねッ!」

 もじもじしながらも元気いっぱいの笑顔を見せられ、会場にいる女性達は、ふにゃりとした気持ちにさせられる。

“私達も応援にいっちゃうよ! 絶対にいっちゃうよ! ルージュちゃん”

 会場中が沸きに沸き、ルージュコールで溢れ返る。
 リングサイドで踊っているオタ芸職人達が、手足と首が引きちぎれそうな勢いで、限界ハッスル状態に入る。
 キン肉マンルージュは会場に向かって投げキッスをして、そのまま飛び上がった。そしてリング下にいるマリとミーノの側に、静かに着地した。

「さすがはルージュ様ですぅ! ファンサービスは最後まで欠かさないのですぅ!」

 キン肉マンルージュは違うとばかりに首を振る。

「ミーノちゃん、違うの……わたしは自分を追い込むために、みんなと約束したんだよ。また明日も、わたしの戦いを見てもらうために……だって、そうしないと……きっとわたし、くじけちゃうから……背水の陣ってやつだよ。逃げ場無しってやつ」

 ミーノはキン肉マンルージュの言葉を聞いて、はじめて気がついた。
 よくよく見て見れば、キン肉マンルージュは小刻みに震えていて、歯がかたかたと微かに鳴っている。
 背水の陣。それは強大な敵と戦う恐怖を打ち消すための、キン肉マンルージュなりの覚悟であった。

「はわわぁッ! 大和魂ってやつですね! サムライなのですね! やっぱりさすがなのですぅ、ルージュ様ぁ!」

 ミーノは目をきらきらさせながら、羨望の眼差しでキン肉マンルージュを見つめる。
 そんなミーノを尻目にキン肉マンルージュはぼそりと呟いた。

「本当はいかにも萌えキャラですっていうセリフを、恥ずかしげも無く思いっきり言ってみたかったんだよね」

「?? ……何かおっしゃいましたかですぅ?」

「ううん! 何にもおっしゃってないよ! 全然なーんにも言ってないッスルですよ!」

 キン肉マンルージュはしどろもどろになりながら、後ろめたい顔をして控室に向かった。

 そして控室――

「マッスル! キャ~ンセレェェェイショ~ン!」

 キン肉マンルージュはつま先立ちになってくるくると回りながら、そっと目を閉じた。そして両手でマッスルジュエルを包みながら、自分の胸元に向かって言った。
 マリとミーノは慣れてしまったのか、いちいちポーズをとるキン肉マンルージュを、さもあたり前のように見つめている。

「うわぁッ! こ、これ、大丈夫かなぁ」

 変身を解除したキン肉マンルージュこと凛香は、マッスルジュエルを見つめながら戸惑っている。
 凛香の手に乗っているマッスルジュエルはびきびきにひびが入っていて、今にも割れてしまいそうである。

「あれだけの大激闘を、しかも2戦分だもん……こうなっちゃうよね……」

 キン肉マンルージュが受けたダメージの全てを受け止めたマッスルジュエルは、大小多数のひびと傷が入ってぼろぼろになっている。
 ミーノはマッスルジュエルを見つめながら、腕組みをして考え込む。

「……うーんですぅ……もうひと試合であれば、ぎりぎりなんとか……大丈夫だと思うのですが……試合が明日でなければ、キン肉スグル大王様に力の再注入をしていただくのですが……うーん、厳しい気もしますが……無理かなあ……んーと、たぶん大丈夫なのですぅ……」

 ぶつぶつと自信なさそうに呟いているミーノを見ていて、凛香はふと、あることに気がついた。

「そういえばキン肉マンデヴィリンス、なんで試合を明日にしたんだろうね。キン肉マンデヴィリンスが現れたとき、また連続で試合しないといけないのかなって思っちゃって、気が気じゃなかったよ」

「デヴィリンスが試合を明日にした理由ですぅ? ……多分、これじゃないでしょうかですぅ」

 ミーノは壁にかかっているテレビを指さした。

『キャハハハハハハハッ! やっぱアキバってサイコーよン! 屍豪鬼ちゃんにアキバで試合するように言っといてよかったわン!』
 テレビには大はしゃぎでアキバショッピングを楽しんでいるキン肉マンデヴィリンスが、大写しになっていた。

『突如現れた悪の大幹部、キン肉マンデヴィリンス! 様々なアキバ系グッズを物色しては大興奮し、手当たり次第に買いあさっています!』

 実況をしているアナウンサーに、キン肉マンデヴィリンスは身体を寄せる。そして嬉しそうに笑みながら、見せつけるように色っぽく挑発する。

『悪の大幹部? んふふふふふ~んッ、す・て・き・な・ひ・び・き~ン! んもう、でちゃいけないものが、いけないところからでてきちゃいそうよン~』

 カメラマンはキン肉マンデヴィリンスの顔をドアップに写した。それに気がついたのか、キン肉マンデヴィリンスはひどく淫靡で艶めかしい顔をして、全国ネットで全国民に見せつける。

『あッ! あれも可愛い~んッ! ああんッ、それもエロ素敵~んッ! あはああんッ、これなんて悪魔なデヴィリンスちゃんもびっくりなくらいに、グロすけべプリティでたまんなぁいんッ!』

 キン肉マンデヴィリンスは再び買い物に夢中になり、アキバの店々を走り巡る。

「………………」

 テレビを見ていた凛香とミーノとマリは、複雑な顔をしながら沈黙してしまった。

「……帰りましょうか」

 固まった空気を動かすように、マリは口を開いた。そして3人はアキバをあとにする。

 そして住之江幼稚園――

「着いたわよ、ミーノちゃん」

 幼稚園の門の前で、ミーノは目を潤ませながら園内を見つめる。

「ここが住之江幼稚園……ミートおにぃちゃんの思い出の場所」

 感極まっているミーノの手を、マリは優しく握った。

「さあ、中に入りましょう」


(つづく)

目次はコチラ

スポンサーサイト
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://musclerouge.blog.fc2.com/tb.php/265-783110cb
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。