FC2ブログ
黒き艦娘、闇艦娘との闘いの火蓋が切って落とされる!
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 暗塊が消え去り、キン肉マンルージュの姿があらわになる。そしてキン肉マンルージュの姿を見たミーノは、ひどく悲しい気持ちにさせたれた。
 リングの真ん中に立っている、ふらふらのキン肉マンルージュ。
 全身は汗でびっしょりに濡れている。まるでバケツの水を何度も被ったかのような、水滴が滴り落ちるほどの濡れっぷりであった。そして足元には汗の水溜りが出来ている。
 コスチュームは様々な場所が切り刻まれ、もはや半裸とも言えるほどに肌が露出している。見る者の方が羞恥の気持ちにさいなまれてしまうような、悩ましくも怪しい、妖艶な雰囲気さえ漂う、ひどい乱れようである。
 キン肉マンルージュの姿を見た観客達は、全員が全員、言葉を失ってしまった。そして心に、ある言葉が浮かび上がった。

“無残”

 あまりにも残酷……直接的な肉弾戦とは違い、ひどく間接的で陰惨な、とても悪魔らしい攻撃である。
 静まりかえる会場……そんな中、真・悪魔将軍プペはコーナーポストの先端で、あぐらをかいて座っていた。

「プペプペプペプペプペッ! ションベンガキ超人よ! 貴様の無様で淫靡ったらしい姿を見て、観客達がひいてしまったぞ? 目立ちたがりのキン肉マンファミリーの一員として、こういった雰囲気はよろしくないのではないか?」

 キン肉マンルージュは真・悪魔将軍プペの方に振り返ることもせずに、その場で口を開いた。
 そしてキン肉マンルージュは拳を握りながら両腕を開き、胸を張り、身を反らせ、空に向かって吠え上げる。

「……への……つ、つっぱりは……ご遠慮願いマッスルぅぅぅうううッ!」

「プペプペプペプペプペッ! 意地の咆哮か? それとも断末魔か? どちらにせよ、燃えカスとなったションベンガキ超人には、きちんと破滅の九所封じをかけて、完膚無きまでに滅ぼしてくれようぞ」

 真・悪魔将軍プペはリング上に着地し、ゆっくりとした歩みでキン肉マンルージュに近寄っていく。

「……マリ様……きっとこんな絶望的な状況でも……マリ様はキン肉マンルージュ様を信じて……だからこそずっとずっと、見守り続けて……でも……ミーノだって信じていますですぅ、キン肉マンルージュ様のことを……でも……それでも……ミーノには無理なのですぅ! 見守るだけなんて、出来ないのですぅ! このままでは、キン肉マンルージュ様が死んでしまうのですぅ! ミーノにはキン肉マンルージュ様を見殺しにするなんて、絶対に出来ないのですぅ!」

 ミーノは涙を流しながら、リングをバンバンと叩く。

「キン肉マンルージュ様ぁ! 変身を解くのですぅ! キャンセレイションするのですぅ! そうすれば、受けたダメージは無くなりますぅ!」

 キン肉マンルージュは動かない身体を無理やりに動かし、ミーノの方へと向き直る。

「だめ……だよ……それじゃ、負けになっちゃう……正義超人は悪を前にして……絶対にギブアップ……しないんだよ……」

「そ、そんなこと! そんなこと言ってる場合じゃないのですぅ! このままではキン肉マンルージュ様が壊れてしまうのですぅ! 死んでしまいますぅ! そんなの……絶対に嫌なのですぅぅぅ!!」

 ミーノはリングを叩きながら懸命に叫び上げる。そんなミーノにキン肉マンルージュは笑顔を向けた。

「……大丈夫……だよ……わたし……まだ戦えるよ……マッスル守護天使、キン肉マンルージュは……無敵の正義超人なんだよ……」

「だめですぅ! だめなのですぅ! お願いなのですぅ! 変身を解いてなのですぅ! お願いですぅ! お願いしますですぅ!」

 キン肉マンルージュは目から何かが流れるのを感じた。

「あれ? なんだろう? 涙が勝手に……」

 キン肉マンルージュは手の平で涙を拭った。

「これ……赤い? ……これ、涙じゃない……血……血だよ……」

 赤く染まった手の平を見て、キン肉マンルージュは困惑した。目から、つうっと、血が流れてくる。

「プペプペプペプペプペッ! 血の涙か? 身体がぼろぼろすぎて、涙腺にまでダメージが及んだか。プペプペプペプペプペッ! こいつはよい!」

 真・悪魔将軍プペは笑い上げながら、キン肉マンルージュの目の前にまでやってきた。

「プペプペプペプペプペッ! そのうち目だけではなく、全身の穴という穴から血が吹き出るようなる! キン肉マンルージュよ、貴様の名前の通りに、全身がルージュに染まるのだ!」

 真・悪魔将軍プペは両の手を開き、手の平をキン肉マンルージュに向ける。手の平にはデヴィルディスペアが集まり、ゆらゆらりと、怪しく揺り動いている。

「間もなくこのリングは、貴様の血で染まることとなる。自らの血で、血の海となったリングだ。貴様のようなションベンガキ超人にはもったいないほどに、素敵な死地であろう?」

 真・悪魔将軍プペはデヴィルディスペアで真っ黒になった手を、キン肉マンルージュに寄せていく。

「マリ様! お願いですぅ! キン肉マンルージュ様を助けてくださいですぅ! マリ様、助けてですぅ!」

 泣きながらマリにすがりつき、叫び上げるミーノ。しかしマリは、ミーノに顔を向けようともしない。リング上にいるキン肉マンルージュを、ただただ静かに見守っている。

「そんな……マリ様……いくらなんでも……あ、あんまりなのですぅ! もういいのですぅ!」

 ミーノはマリから離れ、会場に向かって叫び上げる。

「だ、誰か、助けてなのですぅ! キン肉マンルージュ様を、助けてほしいのですぅ! お願いですぅ! お願いしますぅ! 誰でもいいから、助けてですぅ!」

 ミーノの懸命な訴えも空しく、誰ひとりとして名乗り出る者はいなかった。
 この会場には実質、真・悪魔将軍プペを止められるような強者など、誰一人としていないのである。

「無様だな、ミーノよ。そうやっていつまでもあがいておれ。そして成すすべ無く、こやつが滅び去るのを見物しているがいいわ!」

 真・悪魔将軍プペはキン肉マンルージュと握手をすべく、キン肉マンルージュの手を掴もうとする。

“ばちぃんッ!”

 乾いた打撃音が周囲に響き渡る。真・悪魔将軍プペの手をキン肉マンルージュが弾いた。
 手を払いのけられた真・悪魔将軍プペは、驚いて呆然としている。

「プペェ! い、いまのは……」

 キン肉マンルージュは自らの手の平を見つめながら、驚きと疑問を言葉にかえる。

「なんだろう……今、すごくうまくいった……自然に身体が動いた感じ……」

 真・悪魔将軍プペは間髪入れずに、再びキン肉マンルージュの手を握ろうとする。

“ずびちぃんッ!”

 キン肉マンルージュはゆっくりとしたモーションで、しかし隙の無い動作で、真・悪魔将軍プペの手を払った。

「プペェ! こ、こやつ」

「なんだか、わかった気がするよ!」

 苦々しく顔を歪める真・悪魔将軍プペ。
 対して、自信に満ち溢れた顔をしているキン肉マンルージュ。


(つづく)

目次はコチラ

スポンサーサイト
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://musclerouge.blog.fc2.com/tb.php/231-6d30cbda
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。